踊る道化師


道化、道化。

私は道化。

くるくると踊る、私は道化。

あの人に笑っていて欲しいから。

道化、道化。

私は道化。

あの人の笑顔が見たいから。

私はいつまでも踊り続ける。

だけどあの人は近頃笑ってくれない。

笑って。

ねぇ笑って。

くるくると踊る私を見てあの人は溜息をつく。

笑って。

溜息などつかずに私を見て。

道化、道化。

私は道化。

私は踊る事しかできないから。

私は道化だから。

だから笑って。

ずっと私を見て。

そして笑って。

笑っていて。

それだけでいいのよ。

だからねぇ、笑って。

道化、道化。

私は道化。

あの人は笑顔を取り戻した。

けれどそれは私を見てこぼれる笑顔ではなくて。

……そう、彼女。

彼女があなたの選んだ人。

いいの、私は道化だから。

あなたが笑っていてくれればそれでいいの。

道化、道化。

私は道化。

そう、行ってしまうのね。

私を置いて。

いいの。

あなたがそうしたいのならそうして。

棚の上に、古ぼけたオルゴールなど置いていってしまいなさい。

道化、道化。

私は道化。

だから最後のお願いよ。

ネジをまいて。

私は道化だから。

踊らせて。

祝福に踊らせて。

踊ることしかできないけれど。

せめてそれくらい。

祝福するくらい私にもさせて。

道化、道化。

私は道化。

くるくると踊る、私は道化。

あの人に笑っていて欲しいから。

道化、道化。

私は道化。

私はいつまでも踊り続けるわ。

道化、道化。

私は道化……。


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