それはそれで幸せな日




その日は皆、ドコか変だった。




始まりはそう、深夜だ。
自分の部屋で熟睡していたウェルドは、何かの物音で目が覚めた。
「……あ?」
ぼんやりと薄目を開ける。
寝ぼけているらしく、しきりに目をこすっている。
暗闇に目が慣れず、何も見えないが確かに足音が聞こえる。
やがて(誰かが遺跡にでも行ったのだろう)と結論を自分に下し、また眠ってしまう。
遺跡に向かうには多すぎる足音に気付く事もなく……。
やがて部屋には規則正しい彼の寝息しか聞こえなくなった。



次の日。
昼頃ウェルドはやっと起きてきた。
昨夜の事などすっかり忘れ、ふあ〜とのんきにアクビなどして。
少しの間ぼーーっとする。
今日は何をしようかとぼんやりと考えながら。
やがて、傍らに置いてあった大剣を手に部屋を出る。
隣のパスカの部屋に向かうらしい。
「おーいパスカー」
とんとんとノックをするが、返事はなし。
どうやら留守にしているらしい。
ならばと思い、その隣のシャルンの部屋の前に立ちノックをするが、こちらも留守だったようだ。
そうしてまた隣、また隣と扉をノックしていったが、何とウェルドの部屋の側は全員留守だった。
少し驚くが、まぁこういう事もあるだろうと納得する。
何というかのんびりしているというか、マイペースな男だった。
そうしてやってきたアッシュの部屋。
「アッシュー、居るかー?」
とんとんとノックをすると、
「ああ、ウェルド。開いてるから勝手に入っていいよ」
やっと人と話せる様だった。

「あ、また人形作ってたのか?」
部屋に入ると、アッシュはいつもの様に人形を作っていた。
「ん、ああ」
「……じゃあ邪魔しちゃったか?」
「いや、大丈夫」
にこりと互いに笑う。
のほほんとした空気が流れる。
「あ、そういえばウェルド、何か用でもあるのか?」
アッシュが尋ね、ウェルドがはっと気付く。
「ああ、そうだった。アッシュ、今から遺跡に行かないか?」
するとアッシュはバツの悪そうな顔で言う。
「ごめんな、これ今日中に完成させなきゃいけないんだ」
「ああ、そっか。じゃあ、邪魔して悪かったな」
「ん。あ、そうだ」
「ん?」
「今日な、他の皆も用があって留守にしてるんだ。だから……」
「あ、そうなのか。じゃあどうするかな……」
そうしてアッシュの部屋を後にした。


仲間がいなければ遺跡に行くのは無理だ。
一人で行く事もできるが、やはり危険である。
そうするとどうするか……。
考えてると、ぐぅと腹が鳴った。
そういえば昼飯食ってなかったなと思い至り、酒場へと向かうのだった。



あとがき(というかいいわけ……)

まさか来年まで待たせるワケにもいかず、慌ててUP。
毎度毎度タイトルには悩みます。これのタイトルはもう本当に適当だ……(うわぁ)。
続いてますので、もうちょっとお待ち下さい(汗)。


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