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いつか大人になったその時に。 この気持ちを伝えよう。 「…………」 「ん、どうした?ユニシス」 くるりと降り返り、彼女は言う。 「い、いや、何でもない」 そう言って歩き出す。 彼女――葵はあの時もちっとも変わっていなかった。 一目見た時、ああ、彼女だと。変わらない姿にほっとした。 そして自分の気持ちに変わりがない事も知る。 (もう三年も経つし、女の趣味も変わったのかと思ったんだけど……) ため息をつく。 話をした限り、彼女は三年前と全く変わりがなく。 という事はあの犯罪級の鈍感さも変わってないワケで。 つまりは彼女から自分の気持ちに気付く可能性は低くて。 それどころか気持ちを伝えても恋愛の「好き」だと思わない可能性だってある。 (こりゃ前途多難だなぁ……) そもそもまだ子供扱い。 男として見られていないのだ。 そこではたと気付く。 (も、もしかして俺が居ない間に誰か男が出来たんじゃ……!?) 可能性がないワケではない。 例えばアークとリュート。 あの二人ならば三年前だって自分より彼女と一緒に居た。あからさまな好意も持っていた。 (そ、そうだよ!!だからまだこの島に居るんじゃ……!?) そう考えたら止まらなくなり、 「あ、葵!!」 気付いたら叫んでいた。 「な、なにをいきなり大声を出しておるのじゃ!!」 驚いた様に振り返る。 「か……」 「か?」 首を傾げるその仕草がまた可愛くて。 「彼氏……とか……出来た?」 やっとそう聞く事が出来た。 彼女は少し驚いたが、笑顔で言った。 「いや、生憎そういう事とは無縁でな。……おなごにはもてるのだが」 (な、なんだ、いないのか) 少しほっとしながら言葉を繋げた。 「それは自慢にならないね」 「まあな。……しかし何故いきなりそんな事を聞くのじゃ?……ああ、そうか」 気付かれた!?と少しどきりとするが、彼女に限ってそういう事はないだろう。断言できる。 「おぬし、アクア殿の事が気になるのじゃろう?」 「……なんでそこでアクアが出てくるわけ?」 脱力しながらも純粋にそう思う。 「隠さなくてもよいではないか。三年前からずっと思い続けておったのだな〜。純愛じゃな。うむ」 何やら勝手に話を続ける。 (子供扱いされて、その上別の奴好きだと思われてるなんて最悪じゃん……) というか葵に彼氏が出来たのか聞いてアクアが出てくるのはおかしい。絶対におかしい。 「うむうむ。そなたらは美男美女だからのぅ。さぞかし綺麗な光景じゃろう」 「だから違うって!!」 彼女は三年前と変わらずに。 俺の好きな彼女のままで、そこに居た。 だからまだ子供だとしか思われてなくても。 いつか絶対、振り向かせてみせるから。 覚悟、しなよ? |