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これだけ鈍い女は初めて見るし、ましてやそういう奴に惚れるなんて事はないと思っていた。 思えばいつ好きだと自覚したのか。それすらも曖昧だった事を知る。 リュートが行き倒れていた葵を見つけた時。 目覚め、星の印を見つけた時。 それからはいつも三人でつるんでいたし、好きだとかそういう感情を抱く事もないと思っていた。 そもそも女という認識もあまりしていなかった。 三人でいられれば楽しかったし、楽だった。 けれど、いつか。 いつの間にか。 ちょっとした仕草や表情。そういう物に目を奪われる。 恋をしている自分に気付く。 ……そして、リュートの気持ちにも。 だけど、気付かない。 気付かない様にしていた。 気付きたくなかった。 ずっと三人で居たかったし、隠していればそのままで居られると思った。 それで良いと思っていた。 俺達の間に恋とか愛とか、そういうのは似合わない。 泥沼なんて嫌だった。 それで良いと、思っていたのに。 リュートがどんなに苦しんでいたか。 自分がどれだけ馬鹿だったのか。 気付けなかった。 気付かない様にしていた。 気付きたくなかった。 後に残ったのは後悔だけだったのに。 三人で居られれば、それで良かったのに。 もっと早く、葵に気持ちを伝えれば良かったのだろうか。 ああけれど。 今この言葉を言うのが卑怯だとしても。 今言わないと後悔するから。 例え遅すぎたとしても。 もう元に戻らないとしても。 「俺はお前が好きだけど、お前はどうなの?」 この気持ちは、消えないから。 「……まだ、友達のままか?」 はっきりと言葉で伝えないと、葵はきっと気付かないままだから。 だから俺は返事を待った。 |