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「アクア殿!!無事か!?」 「……は?」 扉を開けた第一声がそれだ。 驚くなという方が無理であろう。 事実ガラにもなく彼女はぽかんと口を開け、目の前の人物をぼけっと見つめている。 「どうした!?やはり何かされたのか!?」 目の前の人物、葵はそんな彼女、アクアの様子を見て何やら慌てる。 「……だいじょうぶ。何もされてないわ」 そもそも誰に何をされると言うのか。 理解に苦しむ。 「そうか。よかった。ではユニシス殿は大丈夫か?」 「ユニシスは先生とおかいもの」 「なぬ!?それは危険だ!!すぐに追いかけねば!!」 そう言うとすぐにも駆け出そうとする。 「あ、葵……」 「なんじゃ?」 「せっかく来たんだから、お茶でものんでいかない?」 「しかしユニシス殿を追わねば……」 「何もおこらないわよ。何かおこったとしても、先生がいっしょなんだからだいじょうぶ」 「しかし町の子供達が危険ではないか!!」 「…………」 さっきから彼女は何を言っているのだろうか。 さっぱり見当がつかない。 「とにかくだいじょうぶ。いいから中にはいって」 「お、おい!!アクア殿!?」 そうして半ば無理矢理、アクアの部屋へと連行されて行くのだった。 「で、どうしてわたしがだれかに何をされたと思ったの?」 「どうしてって……。今日は降誕祭ではないか」 「そうね」 ユニシスがご馳走を作ると張り切っていた。 出不精なヨハンを無理矢理に連れ出して、好きなモノを選ばせているはずだ。 しかし降誕祭。 それが一体どうしたというのか。 「降誕祭は危険ではないか」 「……どうして?」 「危険だからだ」 答えになっていない。 「子供は狙われておる。アクア殿は外に出てはいかん」 「…………」 狙われる。 誰に。 「アークとリュートに聞いたのだ。降誕祭には白髭の老人が夜な夜な家に忍び込み、贈り物を置いていくと」 サンタクロースの事か。 アクアもユニシスに聞いていた。 「しかしその贈り物を貰うには資格が必要なのじゃ。第一に良い子である事」 それも聞いた。 ユニシスに 「わたしはクリアしてるわ。もらえる」 と言ったらいつもの様に怒っていたのを覚えている。 「第二に純粋である事」 それは聞いてはいないが、なるほどサンタクロースを信じない様な生意気な子供はダメだという事か。 「第三に丸坊主である事」 ……。 ………。 …………。 「…………は?」 「良い子で純粋で丸坊主ではない子供は、その白髭の老人に連れ去られてしまうのだ」 「……………」 アークとリュートもよくもまあそんな事を考え付いたものである。 先日のバナナの一件でも呆れ果てたというのに。 (葵の国のひとってみんなこんなに信じやすいのかしら……?) が、ふと思いついた事があった。 「………葵」 「なんじゃ?」 「わたし、今日をとてもたのしみにしていたの」 「うむ」 「おまつりに行くのをたのしみにしていたのよ」 「うむ」 「でも、そんなはなしを聞いたらこわくていけないわ」 「アクア殿……」 少し顔を俯かせ、同情を引く様な声を出すのがポイントだ。 「だから……、葵、いっしょにいこう」 「……しかし今日はアークとリュートと約束があるのだが……」 「……こわいわ」 うっ、と息を詰まらせる葵。 そして絞り出す様な声でこう言った。 「分かった。アークとリュートには悪いが今日はアクア殿に付き合おう」 「ほんとう?」 「ああ。絶対に連れ去らせはしない。安心しておれ」 「ありがとう」 「ただいまー」 「おかえり、ユニシス、先生」 「ただいま、アクアさん。いやあ、久しぶりに外に出ると疲れますね」 「先生はもっと外に出てください。ちゃんと運動もしないと身体に悪いですよ」 「あはは……精進します」 「…………」 「?どうしたんです、アクアさん。私の顔に何かついてますか?」 「……なんでもない」 「なんでもないじゃないだろう!!先生に失礼だろ!?謝れ!!」 「こらこらユニ、そんな事で怒っちゃダメでしょう」 「だって!!!あ!!アクア!!逃げるな!!」 サンタクロースが子供をさらうなんて、うそ。 だって先生がそんなことをするはずないじゃない。 「サンタクロースの正体はな、父親なんだ」 あとがき 途中からぐたぐたになってしまった……。 というかワーランドにサンタっているんでしょうか……。 |