うぎゃー!!






泣かれるなんて、思ってもみなかった。







いつも明るく、楽天的で、能天気。
そういう姿しか見たことがなかったので、余計に胸が痛んだ。
騙すこと。
偽ること。
辛くなかったワケがない。
表面的には、そう。




傷つける事が怖かった。




けれどきっと、本心では違ったのだろう。
嫌われる事が嫌だった。
けれど現実はどうだったのか。
泣かれるなんて、思ってもみなくて。


怒鳴られ、なじり、拒絶された方が、どんなに楽だったのか。


辛かった。
彼女の涙も、悲痛な声も。
懇願する声が。


「嘘って、言ってよ……ねえ」


辛かった。
自分でも自覚していた、表に出してはいけないと自制していた気持ちが。
それに拍車を掛ける。
せめて、本当に事を言おうと思った。
だけど、無理だった。
それは何よりも彼女を傷つける事だと思ったから。
せめて「嘘だ」と、そう言ってしまえたらどんなに楽なのか。
そう言って微笑みかけてやれば、彼女は笑ってくれると思う。
だけど、それは出来ない。
彼女が求めているのは真実で。
だから。
だから俺は黙る事しか出来ない。
真実を告げて傷つけるよりは、嘘を吐いて裏切るよりは。
その時はただ、黙る事が正しいと思えたのだ。












真実を知り、どれだけでも俺をなじればいい。
どれだけでも俺を嫌えばいい。
そう思ったのに。






「ソルが悪いんじゃないよ」






彼女はただそう言い、いつもと同じ、太陽を思わせる明るい笑顔を見せるだけだった。





「たまたま、オルドレイクの子供に生まれただけ。あたしと同じだよ」





ああ。
彼女は何故こうも素直に笑えるのだろう。
何故俺を責めないのだろうか。












いつもいつもいつも。
彼女に救われてきた。
だから、今度は、






「俺がお前を守ってみせる」






俺の番だ。
俺がナツミを守る。
























空にはぽっかりと大きな月が浮かんでいる。
あの時と同じ。
いつも俺たちの上にあったもの。






ナツミが笑ってくれる。
それがとても嬉しかった。



戻ろ