余人の心配



「……まあ、なんだ。お前がどうしてもと言うならば、私と一緒に居てもいい。……お前がどうしてもと言うなら、だが」

「勝手にしろ」



そんなわけで。

茜と舞は恋人同士になりました。




穏やかな付き合いである。
色気がないとも言えよう。
(果たして彼らは本当に付き合っているのだろうか……?)
何やら難しい話をしている茜と舞を見つめながら、奥様戦隊を筆頭とした小隊の者は皆一様にそう思っていた。
デートをしたとの情報も入っていない。
お弁当を食べるのも大勢で。
彼らの疑問は日に日に募る。


(もしや、仮面夫婦!?)


結婚などしていないというツッコミは却下である。
皆真相を知りたくてうずうずする、直接本人に尋ねてみようか。
そんな事を速水 厚志(鬼畜司令)に話せば学園生活の終わりである。
「うーん、どうして皆疑うんだろう?どこからどう見てもラブラブじゃないか。つべこべ言うとスカウトに飛ばすよ?」
職権乱用。
何故速水がそこまで茜と舞にこだわるのかと言うと、彼が2人をくっ付けたからである。
昼休みは教室で粘り、茜と舞の昼食の誘いを断り続け、どちらかが教室を出ようとすれば呼び止めて……。
そうした涙ぐましい努力の甲斐あって、見事に2人は付き合ったのだ。
そんな事をしている暇があるなら仕事をして欲しい、と司令の座を降ろされた善行 忠孝(無職)は思う。
恐ろしくて言えたものではないが。



事件はそんな中で起こった。



ののみが船を漕いでいた。
瀬戸口が苦笑し、そっと肩を揺する。
「……ののみ、ののみ」
「……うぅん……」
ゆっくりと瞼が開く。
「…………?」
まだ少し寝ぼけているのかきょろきょろと辺りを見回し、瀬戸口の姿を見つける。
「……たかちゃん」
「おはよう」
思考回路が動き出す。
自分は確か瀬戸口と共に仕事をしていて、それで……。
記憶がない。
という事は。
「ごめんなさいなの!!たかちゃん!!」
眠っていたのだろう。
「ののみ、ののみ、ねちゃって、それで、それで」
「いやいやいや謝らなくてもいいよ」
「……おこってないの?」
「ああ、全く」
にこにこと笑っている。
「じゃあ、ののみもおしごとするの」
「いや、あとは細かい事だけだからののみはもう帰っていいよ」
「……でも」
「疲れてるだろ?俺一人でも大丈夫」
「……うん」
気を使ってもらった事が少し悲しい。
ちらちらと瀬戸口を見ながら、仕事場を離れる。
ふと何かが足りない気がした。
「……あ」
忘れ物である。
お弁当箱。
教室に走る。
夕闇が辺りを支配しようとしていた。


「?」
教室に入ろうとしたその時。
屋上に人の気配を感じた。
(だれかなぁ?)
ゆっくりとゆっくりと階段を上り、そして、


それを目撃してしまった。






「ほんとにみたのーー!!」
翌朝。
教室でののみが大声で叫んでいた。
「そんな事言うたって信じられるワケあらへんやん。なぁ?」
加藤が瀬戸口に同意を求める。
瀬戸口はうむうむ、と頷きながら、
「ののみはあの時寝ぼけてただろう?見間違いだよ」
ぽむぽむと頭を撫でられる。
途端に頬を膨らませ、抗議の言葉を投げかけるが意味がなく。
「……おはようございます」
壬生屋が教室に入ってきた。
加藤が笑顔で挨拶をする。
「壬生屋さん、おはよう〜」
「みおちゃんは、しんじてくれるよね!?」
新たな人物の登場に、ののみが興奮し壬生屋に詰め寄った。
「え、え?何をですか?」
一方の壬生屋は困惑する。
当たり前であろう。
困りきった顔で加藤の方に視線をやる。
「いやなぁ、東原さんが見たって言うんよ」
「何をですか?」
「信じられへんもの」
「だから何を見たんですか?」
「ほんとに、ほんとにみたの!!うそじゃないの!!」
「何を」
「だいちゃんとまいちゃんがちゅーしてたの!!」



…………。




しばらくの間の後、壬生屋の体が震えだした。心なしか顔が赤い。
「な、ななななななな」
「なー、信じられるわけあらへんやろ?」
「ほんとだもん!!」
「見間違い、見間違い」
と、当の本人の舞が登場する。
「何や普段と変わりないやん。やっぱ見間違いやて」
視線に気付き、集団を見やり、
「……何を見ている」
「いや、何でもないんよ。気にせんといて」
あははと愛想笑いをし再びののみと向き直り、ぼそぼそと言い聞かせる。
「な、見間違いやったんよ。あの姫さんがちゅうした次の日にあんなに冷静におられるわけないわ」
「でもみたもん!!」
舞は自分の席に座り、ぼんやりと窓の外を眺めている。
が、不意にその頬が赤く染まり、窓から視線を外す。
加藤もののみも瀬戸口も壬生屋もその事に気付かない。
「ほんとにほんとだもん!!」
「……何叫んでんだよ」
もう一人の張本人、茜の登場である。
「ああ、茜くんおはよう」
「……ああ」
茜は不思議そうな顔をしたもののそれ以上興味を示す事なく、自分の席に歩いていく。
と、舞と視線が合い、


その顔がゆでダコの様に真っ赤に染まる。


「へ?」
今までに舞と視線を合わせた所を見た事があるが、そんな反応をした事はない。
これは、つまり、ひょっとすると……。
「やったのか!?」
加藤と瀬戸口の声が重なり、茜と舞が驚いて視線をこちらによこす。


「ふ、ふ、不潔ですーーーーーーー!!!!」






彼らが何を想像したのかは不明であるが、昨日ののみが目撃した事が全てである。
茜と舞はこうして少しずつ、少しずつ、その仲を深めていくのだろう。



余談であるが、この事を知った速水が狂喜乱舞し仕事場で踊っている所を加藤に目撃されている。






「い、委員長……?なにしてはるんですか……?」
「……あ」







あとがきと書いて言い訳と読む


私はボキャブラリーが少ないです。ついでに常識知らずでもあります。
才能がないのに小説を書いたりしています。キャラが別人になっちゃうのも才能がないからです。
なので。
ごめん!!!
ああもうののちゃんと瀬戸口が別人だとか会話が適当すぎるとかおもしろくないとか自分で分かってるんですよ!!ギャグは読むのは好きだけど書くのは苦手なんだよこんちくしょうめ!!!
あと遅くなってごめんよ……。


戻ろ